初版:2006/11/06

改定:2006/11/26

MEGAZONE WORLD - 二次創作 - 取れない繭

取れない繭 04(翌日、教室)


※ 本作は、とろとろ 氏 「千蟲姫エリヴィラ」への二次創作です。


ver 01.02



一体沙織はどうしてしまったのだろうか。先ほどの沙織の行動に困惑しながらも、いつも彼女があんな風に優しければと願わずに入られなかった。普段と違う献身的な彼女は優しく、少年の理想そのものだった。

なんで彼女はあんなに妖しくなってしまったのだろうか。いや、淫蕩な彼女も素晴らしかった。ただ、どうしてそうなったのかが気になった。そういえば、香水と言っていた。全く使っていない香水の匂いが何故するのだろうか。彼女が嘘を言っているはずも無いが、自分では全くそんな香りなどしなかった。

彼女の愛撫は気持ちよかった。一舐めごとに、意識を持っていかれそうになるほど。あのまま続けられていたら、今頃自分はどうなっていただろうか。妖しい責めが一つ一つリアルに思い出され、少年は興奮の漣にさらされた。

きっと繭に関係があるに違いない。ただ、もう少年には体を起こす体力は残されていなかった。



少年が保健室のベッドで息も絶え絶えになっているところに、再びあの付き人が現れた。

「連れて行ってさし上げます」

一体どこへ連れて行こうというのか。沙織との一件ですっかり力を奪われた少年では、仮に何処か別な場所へ行ったところで、立っていることはおろか座っていることさえ出来ないだろう。今でさえ、ベッドの上で背骨を抜かれた人間のように横たわっているだけの状態だというのに。

広間で少年を追い込んだ彼女の手が身体に回される。長い手に絡められ、ベッドから持ち上げられた。彼女は少年を易々と胸元に抱きかかえている。昼食会では背中への辺り具合が悩ましかった彼女の胸が、丁度少年の顔に当たる位置になった。

「さぁ、行きましょう」

上から彼女の声が降りかかる。同時に、成熟した大人の魅力を醸し出しているその胸からも、声は振動となって直接少年の顔に伝わってきた。淫靡な強制力を持つ”声”に、少年は抗うことも出来なかった。
「いい匂いですわ」

抱きかかえた少年から立ち上る匂いを嗅ぐと、付き人は婉然とその香りを褒めた。付き人にも少年が香水のような香りを発しているのが判るらしい。ただ、何故その匂いが自分では判らないうのか気になった。

「私でも、思わず食べてしまいたくなります」

嬉しそうに呟くと、少年を胸に埋もれさせながら彼女は保健室の外へと歩き出した。少年の視界半分には、彼女の胸が広がり、残る半分は彼女の首筋から顎に掛けてのラインだった。彼女が何か話すたびに、その声に合わせて胸も淫らな弾力でもって少年に語りかけてくる。言葉が紡がれる毎に、少年は興奮させられた。そればかりか、昼食会でも艶めかしかった彼女の真っ赤な口も頭上で誘うように開閉を繰り返している。

食べられても良かった。いや、とっても食べて欲しい。なのに、口に出せなかった。リル・マンティスに抱きかかえられた少年は、ベッドよりも心地よいその胸元に包み込まれていた。身体がふわふわと運ばれ、校舎内の景色が次々と流れてゆく。身体の自由が利かない夢の中を運ばれていくようだった。

一体何処に連れて行かれるのだろうか。でも、付き人に任せておけば安心なような気がした。付き人の胸から立ち上る成熟した香りにつつまれて、少年はあまり深く考えることが出来なくなっていた。階段をどんどん上ってゆく。少年をお姫様だっこしながらも、階段を軽く滑るように進む足取りは非常に安定していて、どこか人間離れしていた。

「今度は我慢出来ますかしら」

付き人は踊り場で一旦立ち止まり、少年を妖しく見つめながらそう問いかけてきた。何を我慢させられるのだろうか。今度というからには、さっきの続きを?

もう一階上がれば屋上に出る。誰もいない屋上で、付き人が何かしてくれるのだろうか。少年の心臓は、壊れたポンプのような鼓動を刻み始めた。まだ階段の途中なのに、付き人が上から顔を寄せてきた。少年の視野に真っ赤な唇がどんどん広がる。お姫様だっこをされている少年には避けようもない。避ける気は無かった。食事会の時からずっと待ちわびていた、あの唇なのだから。
食事会の時の興奮が蘇り、身体が震えた。抱えている付き人にもそれはハッキリと伝わったらしく、嫣然とした笑みが彼女の顔に浮かんだ。ゆっくり、ゆっくりと唇が降ってくる。フルーツを飲み込んでグチュグチュに溶かした舌が入っている彼女の口が、少年のあどけない口と静かに重ねられる。ピッチリと癒着した二つの唇は、そのまま離れなくなった。

少年は人気のない校舎内でキスされる快感に一方的に弄ばれた。授業中なのにこんな事をされて、背徳感が掻き立てられた。抱きかかえられているので、少年からは何も出来ない。もともとクラゲのように力が入らない少年は、更に融かされてしまった。

『もっと、もっと、気持ち良くして差し上げます。
 どんなに抵抗しても無駄なんですよ』

舌を絡ませながらなので声にはならない。しかし、彼女がなんと囁いているか少年には判った。付き人の胸にやさしく抱え込まれたまま、トロリとした唾液が次々と少年の喉に流し込まれ続けている。エリヴィラは、すっかり惚けた少年に囁き続けた。少年は自分が何処に向かっているのか、もはや全く気にならなくなっていた。ただ、リル・マンティスの胸の中で、甘い囁きを聞かされながら、ずっとまどろんで居たかった。少年は精神的にも快楽の繭ですっぽり包み込まれていた。

再び付き人が少年を何処かへ運び始めた。もう少年には、何も考えられなかった。何処でも良い、目的地で自分を楽にして欲しかった。少年を胸元に抱きかかえた彼女の唇は、未だ少年の口と繋がっていた。延々と唾液を注ぎ込んでは、少年の自由を奪ってゆく。ひたすら飲まされる唾液に、少年はまるで酔ったようになり始めた。とても気持ちよく、何でも出来そうだった。

『もう、繭無しでは、生きて行けなくなってしまいますね』

すっかり快楽に浸りきった少年の脳では、彼女の囁きをよく理解出来なかった。脳の奥底に刻みつけられた彼女の囁きが意味を成すのは、もう暫く先のことだった。





何かがおかしかった。
屋上はもう一階上なのに、彼女は廊下を進んでいた。目的地は何処なのだろうか。ぼやけた頭では、自分の学校なのに今何処にいるのか判らなかった。彼女は教室を確かめながら進んでいた。何教室に行こうとしているのだろうか。足が止まったとき、教室名を見た少年は、ハッと正気に返った。

自分の教室だった。まだ授業中の教室の前から、付き人にお姫様だっこされたまま運び込まれようとしていた。じたばたと無駄な抵抗をし始める少年には構わず、彼女はガラリと扉を開けてしまう。

クラスメイト全員の視線に晒される中、リル・マンティスに抱きかかえられたまま、自分の席まで運ばれた。そればかりか、またしても口をねぶらせ、唾液を流し込む濃厚な口づけを受けながら、椅子の上にそっと降下ろされた。これでは格好の注目の的だ。

少年の席の後は、沙織の席だ。お陰で何時も彼女の小言に悩まされている。保健室から戻った彼女は、ちゃんと授業を受けているようだった。ただ、まだ保健室の影響が抜けてい無いのか、どことなくぼんやりとした視線を少年に投げていた。そこまで見て取ったところで、グイと首を前に向かされた。付き人の女性は、少年をきちんと椅子に座らせることにこだわっているようだ。今更、そんなポーズを取ったところで手遅れなのに。


一体皆はなんというのか。

教室は静まりかえり、誰も言葉を発しなかった。
全身を緊張させて、少年は非難の言葉を待ち受けた。

一瞬が、とても長い時間に思えた。
だが、誰も何も言わなかった。

付き人は、脱力している少年が椅子から落ちないよう隣で支え、いや、がっちりと少年を拘束している。驚いたことに彼女は、今や手袋を外している。薄々気付いていたことではあるけれども、やはり彼女の腕は光り輝く二本の大鎌になっていた。無機質な二双の鎌で、がっちりと少年を椅子に押さえつけている。この驚くべき光景に息をのんで、誰も言葉を発せ無いのだろうか。

カツカツカツという音が聞こえてきた。

皆が見ていたのは、黒板の方だった。大量に板書を行う教師の一字一句を、皆必死にノートに取っていた。文化祭直前の試験で点が悪ければ、補習で文化祭に全く参加出来なくなってしまう。皆真剣だった。だからといって、付き人の女性や少年の姿に驚かない筈は無いのだが。

「隔絶」

今まで、そこには誰もいなかったのに。言葉と共に、中学生ぐらいの少女の姿が見えた。

「声を上げなければ、誰からも見えない」

昨夜のエリヴィラだった。彼女は、素っ気ない口調で説明した。完全に閉ざしてしまう隔絶と異なり、今みたいな外が見える一方向の隔絶構築は、昨夜の隔絶とは異なり、声を出せば崩れ去る程の難しいものらしい。
だったら何故そうまでして、少年をわざわざこんなところに運んできたのか。
そして、何故リル・マンティスは少年の腰だけをガッチリ固定しているのか。
その答えは、直ぐにも明らかになった。

夢見心地に後の席で少年を見ていた沙織が、少年の名前を呼び始めると共に、繭が再び活動を始めた。
繭が微かに動いただけなのに、早くも少年は達しそうだった。
今まで唾液を飲まされ続けていたのはどうしてか、遅まきながらも少年は真相に気づいた。
息も絶え絶えだった少年の体は、一部の行為に関してはもうすっかり元気になっていた。

今まで少年は射精に達する事がなかったが、そのときの快感は全て繭に封印・蓄積されているのだ。
そして繭が好き勝手に選ぶタイミングで、貯蓄された快感が一気に少年のペニスへ流れ込む。
今がまさにそのタイミングだった。

再び、めくるめく苛酷な責めが再開されてしまう。リル・マンティスが少年を拘束しているのも、昨夜と同じ理由からだろう。

麻酔が切れると、切れる前より一層痛み感じる。だが、それが快感だとどうなるだろう。
快楽を受け続けている場合は、少しはそれに慣れることが出来る。
しかし、一旦強制的にに休まされて、十分休養を取った神経ではそれが出来ない。
再び浴びせられる快楽に対して、抵抗することもなく、そのまま全て受け入れてしまう。
本来ならば、耐えきれずに逃すべき快感を、限りなく浴びすぎてしまうのだ。

本来、快感を高めるには色々と手順を踏んで、それなりの時間が必要だ。
だが、麻痺が切れるまでのわずかの間で、それも含めた今までの全快感がペニスに一瞬で復元される。
搾精のみを目的として進化し続けてきた繭には造作もないことだった。

沙織には少年が見えているのだろうか。
彼女は少年の名前を譫言のように何度も、嬉しそうに呼ぶのだ。

「何時もごめんね」

謝っては少年の名前を呼ぶ。
そして繭は同期することの大事さを学んでいた。強弱もつけることを覚えていた。
背後に座っている沙織の言葉にピッタリタイミングを合わせて、繭は少年を責める。

「ピクッてした。フフ。夢の中だと素直だね」

まるでもう一人の沙織が、机の下に入って少年のペニスを口に含んでいるかのようだった。
背後の沙織が言う言葉に合わせて、机の下の沙織がそっくり同じ言葉でペニスを振るわせる。

「また夢に出てきてね」

沙織が名前を呼べば呼ぶほど、少年のペニスは甘噛みされているのと同じ目にあっていた。

「ねぇ、私のこと好き?」

沙織を止めなければならない。だが、沙織に返事をしようとする瞬間、一気に繭は脈動の速度を上げ少年の言葉を奪う。息をするのも忘れ、何とか刺激に耐える。ようやくその刺激に慣れた頃には、軽く弱い接触へと戻り、少年が繭の刺激に慣れる暇を与えない。更に、常に軽い刺激でありながらも、ペニス全体を撫で回し、決して少年の官能の炎を絶やさせることは無かった。繭は、人間の女性など比べるまでもない快感を与えることに長けているのだ。

「ふーっ。ふー」

沙織がとんでもないことを始めていた。

「ふーーーーーーーーーー」

保健室で舐め回されて敏感にされた少年の肌は、沙織の息に耐えられないのだ。軽く息を吹き付けられただけで、皮膚全部を沙織に舐め回された感覚が鮮やかに蘇る。そればかりか、少年に息を吹き付ける為に沙織が大きく息を吸い込む度に、その動きもまた繭によって再現されていた。机の下の繭は、少年の股間にがっちりと食いつき、真空になるのかと思われる幻の口でペニスを吸引するのだ。今にも吸い出されそうになる瞬間、今度は精巣に注入するかのように、勢いよくじゅるじゅるを浴びせかけるのだ。

背後の沙織は、身を乗り出して唇が付くかと言うぐらい首筋間際で吐息を吹き付けてくる。沙織が吹き掛け方を変えるに従って、股間の沙織(幻)もペニスの嬲り方を合わせて変えた。二人がかりのフェラチオに少年は耐えられそうもなかった。少年の限界を正確に知り尽くしている繭は、頂上手前まで少年を運ぶと、今度は麓まで一気に引き下ろす。そして、またジワジワと頂上を目指して再び少年を追い込むのに余念がなかった。

少年は辛うじて悲鳴だけは、押し殺していた。昼食会の二の舞は避けたかった。みんなの見ている前で達してしまうなんて。あの興奮が脳裏に蘇ってくるだけで、達してしまいそうになる。少年はようやく、何故自分が教室に運ばれたのかを理解した。教室は昼食会の広間より狭い。だから昼食会の人数より少ないものの、教室にいる全ての人間から少年がイク瞬間を目撃されるだろう。そしてそれを、横にいる二人は待っているのだ。現にエリヴィラなど、目をきらきらさせて少年を見上げている。

少年の理性はボロボロにされていた。昼食会でも条件付けをされてしまったし、保健室でのこともそうだ。保健室で過敏にされた肌は、沙織の息一つであの舌が与える快感が再現されてしまう。上半身全てをなぞる沙織の舌が引き起こす、あの目くるめくような快楽には逆らいがたい。

だがしかし、絶対に思惑通りにさせるものか。少年は必死で精神力をかき集めた。エリヴィラを信じるならば、少年の姿はまだ誰にも見えていないのだ。誰にも見えていないのならば、逆にチャンスだった。もう、寸止めされ続けるのには耐えられない。次の頂上に運ばれたら自分がどんな風になるのか想像も付かなかった。だからこそ、今の内に自分で快感を放出しようとした。まだ今ならば、誰にも気づかれずに上手く欲望を放散出来るだろう。

しかし、少年には何の手だても打てなかった。動かそうとした少年の両手はエリヴィラとリル・マンティスに押さえ込まれていることが判った。今まで自由だと思っていた少年の両腕は、二人がピッタリと体を寄せ付けて完全に動けないようにされていた。柔らかな女体で淫靡な拘束を行っていたので、少年が気づかなかったのだ。その見事な拘束は、少年が自由に腕を動かせるかのように錯覚させていた。だが、腕を動かしても、その動きは柔らかな胸で全て受け止められ、女体に吸収されてしまっていた。動かそうとする少年の努力は、かえって美女の乳で少年の腕がもみし抱かれる結果にしかならなかった。動けば動くほど左右の胸の差、ふくよかな揉み心地と張りのある胸の二通りの感触がハッキリと腕に伝わって来る。

美女二人に横から抱きつかれ、腰はガッチリと骨盤を椅子に鎌で拘束されている。骨盤だけを固定されると、手足を自由に動かせるにも関わらず、椅子からは1ミリも動くことが出来ないという奇妙な状況になる。更に背後からは悩ましい声を立てる沙織と、机の下の見えないところではもう一人の沙織がフェラチオを行っている。今や少年は、4人がかりで責められていた。体が右に左にフラフラと揺れて今にも崩れそうになるが、自分でそれを支えることは出来ない。机に手を付きたくても、腕は極上の女肉の中に埋もれていた。快感のあまり、床に倒れ込んで楽になろうとしても、鎌は少年を座面に釘付けにしていた。ピンで差し止められた虫が痙攣するように、少年は椅子の上で延々と悶えさせられ続けている。

やっと、授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。




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管理人:鷹巣 椎茸