※ 本作は、とろとろ 氏 「千蟲姫エリヴィラ」への二次創作です。 |
ver 01.04
「フフ、ごめんなさい。まだ、そんなところが残っていたわね」
口を半開きにしたまま、彼女の唇がゆっくりと少年の顔に向けて降下してくる。
そういえば今まで沙織が舐めていたのは、昨夜リル・マンティスに舐めまわされた部分だった。そして少年の体の中で一番長い間舐められていた部分といえば、残るのはあそこしかなかった。
単に首筋を舐められただけなのにそこを舐め上げられたら。ここまでの快感によがり狂わされた少年には死刑宣告に等しかった。もしも、あの舌が口内に入ってきて、咥中をネットリと掻き回されたならば一体どうなるだろうか。単にのたうち回るだけでは済まされない事になるだろう。大きな期待と恐怖に少年は打ち震えた。予感と恐れに顔を歪ませる少年をタップリと眺めながら沙織は顔を近づけてきた。
保健室に鍵は掛からない。このままでは、きっと大変なことになる。残された理性で、少年は必死に力を振り絞った。だが、沙織を押しとどめようとする手には殆ど力が入らなかった。少年の意志の力を、快感に染まった体が裏切るのだ。
しかし、少年に覆い被さっている沙織は艶然とその動きを見咎めた。
「悪い手ね」
少年の体にさざ波が走った。
期待と欲望を抑えつけようと、手でベッドにしがみつく。
沙織は、嵐に吹き飛ばされ前とするがごとくシーツを掴んで必死に耐えている少年の手を見やった。 軽く吐息を少年の手に吹き掛けると、それだけで腕にまで震えが走った。 沙織はじっくりとそのことを確かめた。
「ふふ」
少年の指先にはシーツがきつく握り混まれていたが、沙織はゆっくり顔を近づけていった。固められた拳にも構わず、指を舐め始める。少年の固まった指は、一本一本沙織の舌で舐め溶かされ始めた。徐々に指からシーツがすり抜け始める。
「ちゃんと綺麗にしないとね」
彼女は順番に少年の指を舐めていた。それぞれの指が丹念に彼女の舌で舐め取られる。とうとうシーツを手放してしまった少年の手を、彼女はひたすら舐め続ける。まるで舌で咥内に巻き取るように、舌を長く伸ばして少年の指をなぞり始めた。唾液をまぶしては、吸い立てながら舌で激しくしゃぶる。吸引音がジュビジュビと妙に猥雑な音を奏でた。
「ガチガチに固いのね」
一本ずつ丹念に沙織は少年の指を舐めた。今では、輝くような球体がそこにあった。沙織の舌で上半身と同じく唾液まみれになった少年の手は、体を支える力も失いシーツの上で丸まっていた。それでも沙織は舐め止めない。指が溶けて別な形に変わっているのでは無いかと少年に思わせる勢いで沙織はしゃぶり続けた。
「でも、芯まで溶かしてあげる」
手を丸めても、沙織の舌が与えてくる快感を防ぐことは出来なかった。そればかりか、舐め上げられるたびに力を失い、握りしめた手が開いてゆく。沙織は拳から緩み始めた指を、特にその一本だけを徹底して舐め始めた。
唇で軽くついばみ、ついと舌でなぞる。沙織の口内では何が待ち受けているのかを暗示するような舐め方だった。沙織は全く急がなかった。舌で指先を軽く舐め上げる。沙織の口に入れば、どんな挨拶が待っているかを少年の指に教え込んでいた。舌を巻き付けるようにして少年の指先をくるみこむ。沙織の唇にのみこまれれば、何が待ち受けているかをしっかり約束した。
「さぁ、出てきなさい」
沙織は、少年の指を舌でくるんだまま粘着質な舌を動かす。既に唾液でベトベトになっている少年の指は、沙織の舌にどんどん覆われていった。だが、少年の指はまだ丸められたままだった。そのままでは指全部を口内に納めることが出来ない。しかし、沙織はじっくり時間をかけて少年を指先から蕩かそうとしていた。
ただ舐めるだけではなく、強弱をつけて何度も舐める。執拗なその舐め方だけでも十分に少年の理性が軋み始めた。舌を窄めてみたり、チロチロ動かしてみたり、沙織は多彩な舌技を少年に披露する。
「ほら、もうすぐよ」
かつては握りしめられていた少年の手が、だんだん緩み始めていた。そればかりか、沙織が舐める度に腕から指先にかけて繰り返し痙攣が走る。沙織の責めは指ばかりか、少年の腕まで快感で覆っていたのだった。もはや全く力の入っていない少年の指を、沙織は自分の手を一切使わずに舐め続けた。
「さぁ、いらっしゃぃ」
重点的に責められていた指が、とうとう浮き上がった。全く力が入らなくなったその指を、沙織はゆっくりと舌で持ち上げる。少年に見せつけるように、口中へ運んでゆく。
輝く沙織の唇の間に、自分の指が運ばれてゆく。その光景から少年は目を離せなかった。これからどんな快感が指先から与えられるか分かっていても、もう目をそらすことが出来なかった。
「私の中に入りたいのね」
唾液を滴らせる沙織の舌によって、少年の指は沙織の口内へ全部入ってしまった。開いていた沙織の唇が、まるで少年の指との最後の別れを見せつけるかのようにゆっくりと閉じられる。
そのまま何も起こらなかった。
沙織の舌が動いたりもせず、少年がもどかしさを感じ始めたその瞬間に指を覆われた。沙織は何も動かさなかった。しかし、少年の指はネットリとした唾液の海に溺れていた。咥内の熱い唾液の海で、指は更なる嵐に巻き込まれようとしていた。
「ふぁっふり、ふぁじふぁってふぃってね」(タップリ味わっていってね)
沙織の頬が両側から窄められた。凄まじい吸引力は指に退くことを許さなかった。海の中で、蛭のような物体が沸き返っていた。沙織の舌が自分の領域で思う存分動きを見せ始めた。同時に繭内部でも、疑似的な舌が少年のペニスを襲っていた。
「ふぁだふぁだ、ふぁえさふぁないぁよ」(まだまだ返さないわよ)
ただ単に掃除するだけではなく、指先に舌を押し当てて振るわせながら第一関節までを巻き込むように舐める。その後は激しく吸い立て、まるで咥内が真空になったかのような密着感でもって指の根本に向かって唇を進める。指にピッタリ密着した唇がじゅぶじゅぶとイヤらしい音を立てる
「ふぉぅ?ふぉぼれそふ?」(どう?溺れそう?)
彼女の唾液の海の中で舌と接触を増す少年の指は、皮膚全面に舌に巻き付かれ、溶かされようとしていた。
無論繭内部でもそれは同じだった。沙織咥内の動きにピッタリと合わせ、繭も絶妙の強さで少年の分身を窄まりながら扱いていた。彼女が指先を責めれば亀頭を、唇が指の根本に達する頃には窄まりがペニスの茎から根本まで丹念に這った。指と共に少年の分身も融かされようとしていた。
「ふぇえ、ふぉうなふぉ」(ねえ、どうなの)
少年が目にする彼女の口の動きにピッタリと連動するその様は、もう一人の沙織が少年の股間でペニスを舐めるのに飽きたらず、とうとうペニスをしゃぶり始めたかのようだった。目の前で視覚的に疑似フェラチオを行う沙織と、股間で実際にフェラチオを再現する繭の両者が少年の神経を2方向から責め立てた。
「ふぃふぃふぁふょ、」(いいわよ、)
「ふぃうふぁでふゅるふぃてぁふぇないふぁら」(言うまで許してあげないから)
自分の指をたった一本舐め取られただけで、少年は限界を超えそうになっていた。
息も絶え絶えになりながら少年は喘がされていた。激しい呼吸をする度に、沙織の胸元の空気を吸い込む事になる。ベッドの横には回らず、沙織は少年の頭越しに指を舐め続けているのだった。まるで沙織にくるまれているかのような気分になってしまうのに、沙織は少年に舌以外では全く触れていないのだった。
だからどうしても少年はイク事が出来なかった。意図しているのかそうでないのか、沙織は絶妙なコントロールをしていた。少年がイキそうになる度に舌の動きを止め、ずっと少年の痴態を眺めるのだ。
「ふぁふ」(フフ)
繭もそれに合わせて扱きを止めてしまう。
少年は絶頂の手前に留め置かれた。
「ふょう、ふぁめ?」(もう、駄目?)
ところが、今にも破裂しそうなその状態を抜け出せるくらいになると、再び舌責めを開始するのだった。少年は沙織の視線が、自分の快楽の度合いをすっかり見透かしていることを知ってゾクッとした。いつまでも抜け出せない快楽の頂上で少年は焙られ続けた。今にも気が狂いそうだった。
(イキたい)
(イかせて欲しい)
広間での耐え難い状況下、危うく衆人環視の状況で少年は逝きそうになった。もう少年の理性は、おかしくなっているのかもしれない。 ここが学校の保健室なのに、逝ってしまいたかった。懇願のセリフが口をつきそうになった。
だが懇願しようにも、喘がされ続けた少年の喉からは、声が全く出せなかった。
「次は何処を綺麗にして欲しい?」
少年をねめるように眺める彼女の声は、背筋がゾクリとするほど甘ったるい声だった。
次に掃除されるような場所は、少年の上半身には、殆ど残っていなかった。
「何をしているんですの?」
澄んだ声が響いた。