初版:2006/11/06

改定:2006/11/10

MEGAZONE WORLD - 二次創作 - 取れない繭

取れない繭 03(翌日、保健室・前編)


※ 本作は、とろとろ 氏 「千蟲姫エリヴィラ」への二次創作です。

ver 01.03


「自己管理が出来てないのよねー、今時あんな風に倒れちゃうなんて小学生でも珍しいわよねー」
「ねー」

沙織は周りの会話を全く聞いてはいなかった。
耳から首筋まで真っ赤になった少年が倒れ、静まりかえった広間から運び出されていった。
その様子を、沙織は目を険しくしながら、じっと見ていた。
少年の後にいた付き人の女は、ちょっとお節介を焼いていた以外に、特におかしな事はしていないように思う。
付き人の手の動きは、ずっと見えていたのだから。
でも普通の病気で、突然あんな風に倒れたりするのだろうか。
妙に上気した少年の顔を見た瞬間、少年から妙な色気を感じて沙織は身体が熱くなった。
具合が悪い少年には悪いけれど、ピンク色に染まった少年は綺麗だった。

後で保健室に寄ってみよう。
これは決して、別に少年の事が気になるわけではない。
ただ単に無理をせずきちんと休むよう、少年へ確実に伝えておく為。
保健室に行く正当な理由が見つかって、沙織はほっとした。
上の空で会話を続けながら、沙織は皆と食事を進めた。



繭の中でペニスは、取り付かれた外側はもとよりその内側から、今も浸食されていた。ペニス内部に侵入した触手はやわやわと蠢き、少年が気絶してもなお快楽を与え続けていた。ひとときの激しい触手の愛撫が、やがて徐々に弱まり、まるで少年を労るかのような動きへと変化していた。
触手がゆっくりと少年の精巣内で蠢く度に、触手の周囲へ微量の液体が放出されていた。少年のペニス内部では、ひたすら触手が内筒周囲を撫でまわす。触手が気遣うかのように、やさしく撫で回した跡は、奇妙な輝きを持った滲出液で覆われていた。浸透性の高いその液体は、塗りつけられる度に確実に少年の体内に吸収されていった。

徐々にではあるが、時間をかけて液体は少年の全身へと染み込んで行った。まるで疲れきった少年に栄養を補給するかのように、繭は液体を生成しては体内へと浸透させ続けていた。十分に時間をかけて生成されるその量は、実に繭の体積何十倍にもなった。だがそれほどの量であっても、触手がじわじわと浸透させたので、少年はもとより誰にも気付かれることはなかった。

尋常ではない量を浸透させられるにつて、少年のペニスはだんだん麻痺し始めた。液体には癒す成分でも入っているのか、麻痺させられた細胞は十分な養分を与えられ前よりも遥かに活性化した。しかし同時に、液体に含まれる他の成分も易々と、麻痺した細胞内へと吸収されていった。
限界に達した少年のペニス内部で、触手は癒すように塗り広げる動作を繰り返す。その範囲が広がるにつれ液体は次々と少年のペニス内へ注入された。だが、失神している少年には、自分の体内で起きている出来事に気づくよしもなかった。やがて、飽和し切った周囲の細胞では繭が生み出した成分を吸収しきれなくなり、それが血流に乗って少年の体内を巡り始めた。
 一瞬少年の手が、気絶の淵から戻ってきたようにぴくっと震えた。しかし液体が回るにつれ、まるで眠らされるかのようにその動きは再び止まってしまった。


だいぶ時間がたってから、少年は保健室で意識を取り戻した。誰かが、少年に水を含ませてくれていた。意識がハッキリするにつれ、誰かが近くにいることがわかった。妖艶な付き人の女性だった。少年が倒れてから、ずっと看病してくれていたらしい。
寝ている少年の上へ覆いかぶさっている彼女の顔が見える。顔が触れんばかりの距離だった。視野いっぱいに広がるの彼女の顔で、天井は全く見えなかった。少年が意識を取り戻したのを知ると、彼女はニッコリと微笑んだ。そのまま、水を飲ませてくれる。

水…?

口に流し込まれる液体は、温かかった。まるで麻酔でも打たれたように体が麻痺しているが、少年の唇に当たっているのは、水差しなどの冷たい物体ではなく、柔らかなものであることが感じ取れた。彼女の顔の動きにあわせて、少年は液体を飲ませられる。つまり、口移しだった。 全身の痺れは、その液体を飲むとすぐに取れてくるような気がする。液体には即効性でもあるかのようだった。

少年を介護しながら彼女は、そのまま5分近く少年の上に覆いかぶさったままだった。そう、少年が飲まされているのは、彼女の唾液だった。お陰で少年はだんだんと意識がハッキリしだし、唇の感覚も取り戻した。少年の唇は付き人の女性の唇でぴったりと覆われていた。何か聞こうとしても、言葉は付き人の口中へと吸い込まれていってしまう。

「あの程度も、我慢出来なかったの?」

横から問いかけてきたのは、ピンク色のドレスを着た昨夜の少女エリヴィラだった。

「まだまだ、これからなのよ」

少年の様子を見やりながらエリヴィラは、ただ一方的に話し続けた。彼女の口調は姿形に似合わず、年上の女性のそれだった。そして気絶していた少年が思い返す暇も無かった、先ほどの出来事を思い出させる。危うく、大勢の生徒がいるあの広間で、少年は醜態を繰り広げる寸前だったのだ。付き人がごまかしてくれなければ少年が達しそうになった瞬間に、広間中に知れ渡ったことだろう。皆の前でもいい、イってしまいたい。一瞬とはいえ、そう少年は思ってしまったのだ。

「あの娘達は、どんどん凄くなるわ」

少年には、一体どの娘の事を言われているのか判らなかった。食事会の広間にいた、この付き人の女性を言っているのだろうか。ただ、少年はエリヴィラにそれを尋ねるどころか、ずっと離れない付き人の唇によって口を封じられ続けていた。いくら首を振っても、付き人の唇はピッタリと少年の唇に合わさり、ちょっとやそっとでは、もぎ離す事が出来無い。そして少年はただひたすら、唾液を吸わされていた。

そんな少年の様子には全く取り合わす、エリヴィラは話し続けた。ちらりと毛布の上を見やり、笑みを浮かべている。

「それにしてもリル・マンティスに、ここまで入れ込まれちゃうなんて」

少年は、口を軸にしか動かせない頭を回して、付き人を確かめた。爪先さえ見えないあの長いスカートの中ならば、リル・マンティスの足もそっくり収まるかもしれない。そして腕まで覆う手袋は、長い鞘と言えないこともない。そういえば手袋の感触も覚えがあった。吹き付けられた粘液に似ていた。

「そろそろ、あの娘達も目覚めだしたみたい」

エリヴィラは薄い毛布の膨らみを見逃さなかった。気絶した後は、股間に冷えたような感覚だけがあって、まるでペニスが再び無くなってしまったようだった。それが今、何か氷水から日の当たる場所に上がったような感じで徐々に熱くなりつつある。そして熱を感じると共に、繭の蠕動も微かに伝わってきた。ようやく、少年にも『あの娘達』が何を指しているのかが判りだした。

「あなたはもう、この快感から逃げられないの」

エリヴィラの話から、ようやく少年も自分の境遇を理解した。ペニスを包んでいる繭がリル・マンティスの娘達なのだ。そして繭は普通の精液では満足出来ないようだ。それは、少年が射精直前の精製を、何度も繰り返し求められることを意味していた。少年は、まさに自分がエサとされていることを実感させられた。

だが不思議と、恐怖感は無かった。少年に注ぎ込まれているリル・マンティスの唾液に原因が有るのかもしれない。体を麻痺させるような毒は入っていないが、代わりに恐怖心などといった、少年の心を麻痺させているのではないだろうか。そればかりか、目覚めてからずっと少年はリル・マンティスにじっと見つめられていた。吸い付いてくる彼女の綺麗な唇をもぎ離す事も出来ず、彼女に見つめられたままになっていた。彼女の顔は、物凄い滑らかさを保証するかのように、輝くような光沢を放っていた。そして少年の目を吸い込むリル・マンティスの瞳は、少年の唇を吸い立てる彼女の赤い口よりもずっと強い吸引力を発揮した。口と目から心を抜き取られているような気がした。

股間にもまた強烈な吸飲が始まり、少年は3カ所から何かを吸い出されようとしていた。飲まされた唾液が効力を発揮し始めたのか、再び体が疼き始めた。疼きが体中に回ると共に、ようやく少年は麻痺状態を抜けて全身の感覚を取り戻した。今や口に差し入れられているリル・マンティスの舌がハッキリと判る。

「ふふ、興奮しちゃった?」

エリヴィラが冷めた声を掛けると共に、リル・マンティスが蠱惑的な体を少年から離してしまった。
自分をこれだけ掻き立てておいて、つと突き放す彼女に少年は追いすがろうとした。

「いいのかしらぁ」

エリヴィラは面白そうにしていた。
何か隠しているのだろうか。

あまり本気で逃げようとしていないリル・マンティスの両肩を少年は捕らえることが出来た。
ベッドからぎりぎりまで伸び上がっていた少年は、そのままベッド脇にリル・マンティスを引き戻そうとする。

まさにその瞬間だった。

勢いよく開かれた扉が、少年を正気に戻した。
妖しい雰囲気が一瞬にして霧散する。
ダイブするかのようにベッドへ潜り込んだ少年を、保健室へ入ってきた沙織がベッドの頭側から睨み付ける。

「ちょっと、文化祭どうするのよ。あんたが、倒れたらどれだけの人が迷惑すると思ってんの」

相変わらずの勢いで沙織はまくし立てている。一方的なその口調は、人の具合なんか全く関係なさそうだ。この隙に、リル・マンティスはそっと会釈をしてその場から退散してしまった。沙織は普段優等生っぷりを発揮して、周囲の人間を巧みに世話しているくせに、少年に関する事では周りのことなぞ全く歯牙にも掛けない。

ただ今回ばかりは、少年も迷惑を掛けたと思っていた。素直に謝る少年に、何故か沙織は黙り込んだ。

本意ではないが、仕方なく繰り返し謝る少年に彼女はボソッと問いかけてきた。

「何をしていたの」

見たとおりで、何もやましいことはしていない。まるで何かやましいことをしていたかのように、少年は弁解を始めだした。

「何の関係もない人が、何で食べさせたりするの」

彼女が気に掛けていたのは、たった今のことではなく、昼食会の事だった。つい先ほどの、危ない瞬間を見られたわけではないと分かって、少年はほっとした。ただ、付き人の女性が何でそんなに親切なのかと問われても、少年には答えようがない。今そこにいたのだから、聞いてみればいいのに。言った瞬間、沙織の顔色が変わるのが判った。鬼女の顔色ってこんな色だったんだ。

言ってはいけない事だったらしい。物凄い剣幕の沙織に襟首を捕まれた。保健室で寝ている病人に対しても全く容赦は無し。理不尽な事に、少年は今や保健室で窒息しようとしていた。首を交差する手で締められていた。握力に頼らないこの方法なら、沙織でも間違いなく今の少年を絞め落とせるだろう。それにしても、一体何が理由でそこまでの逆鱗に触れたのだろうか。

「知り合いじゃないの?」

昨日合っているが、知り合いではない。必死に知らない人だと説明しようとするが、既に半ばまで喉を絞められていては満足に声も出せない。

「何で見ず知らずの人が、そんなに世話を焼いてくれるのかしら」

世話とは違う筈だ。しかし、何が理由で沙織がそんなことに突っかかってくるのかサッパリわからない。もっとも、理由が分かっても分からなくても、少年には説明が困難な話だった。一体、少年が昼食会から運び出されたときに、広間にいた同級生達は少年の最後をどういう風に見ていたのだろうか。

「え、急に倒れるから・・・」

沙織は、まるで自分がどう思っていたかと聞かれたように、歯切れの悪い答えを返した。沙織はまさか、ずっと一部始終を見ていたなどとは言い出せない。具合の悪そうな少年と、何故かその後の食事を手助けする付き人。介護のコースを取っている人が付き人のバイトに来ているのかもしれないので、確かに具合の悪い人間が食べるのを手伝ってもおかしく無いのかもしれない。でも、付き人の女は、何か少年の耳元でずっと何か囁いているようだった。しかも、少年が倒れる寸前はまるでキスしているかのように見えた。そのことを確かめたかったのだが、沙織は少年に面と向かって問い糾せずにいた。そんな時、文字通り手の届く距離だからこそ、沙織は少年から漂う香りに気付いた。

「あんた、学校に香水付けて来ているんじゃない?チャラチャラしすぎよ」

もはや難癖だった。少年はそんな事などしていない。完全な冤罪。
だが、沙織は執拗だった。

「へぇ、じゃあどうしてこんなにいい香りがするの」

いい香りというのは、少年にすれば沙織から漂う香りの事だと思う。がしかし、沙織が言っている香りとは、一体どんな匂いなんだろうか。

「わからないの、なんかこう胸にキュっとくる香りよ」

少年の周りの空気をしきりに嗅ぎながら沙織は答えた。何故か沙織の視線が妙に怖い。

沙織には理由が分かっていた。少年が香水を付けてい無いのは知っている。しかし、それにもかかわらず香水の匂いがするとしたら。答えは一つしかない。移り香に決まっている。あの付き人女の香水が、少年に移ったに決まっている。少年に移り香が残っているとすれば、それはどんな状況下で発生したのか。考えるまでも無い。一体どうしたら、一向に白状しない少年に罪を認めさせられるか。幸いにも決定的な証拠は、今ここにある。

しきりに匂いを嗅ぎながら、沙織の顔が少年に近づけられる。相変わらず首を絞められたままの少年は、黙って見守るしか無かった。

「ほら、やっぱりここから香りがしているわよ」

そんなことを言われても少年には答えようがない。沙織は、少年の服に顔をくっつけんばかりにして匂いを嗅ぎ続けていた。この距離では、沙織の呼吸が服を通して素肌にあたる。彼女の息がこそばゆかった。しきりに少年の匂いを確かめながら、沙織の吐息は胸から首筋、背中へと這い回る。さっきより小刻みに匂いを確かめているのか、沙織の息は早く強くなっていた。少年は匂いの発生源をふと思い浮かべた。いま丁度、急速に感覚を取り戻しつつある、繭にくるまれたあそこなんじゃないか。

服越しに彼女の吐く呼吸がはっきりとわかる。今や少年は、沙織の吐息でくるみ込まれていた。少年の吸う空気は直前に沙織の口から放たれたものなのだ。そんな甘ったるい沙織の呼気を少年は吸わされている。口は相変わらず悪いが、モデルのような肢体を持つ彼女がベッドの上で密接しているこの状況は少年の精神を蝕み始めた。少年は自分のペニスが再び大きくなるのが判った。同時に、ペニスは未だ熱い繭の内部にしっかり閉じこめられているということも。

何か不審な点でもあるのか、沙織は胸から首筋、背筋へと執拗に何度も繰り返し少年の匂いを嗅ぎ続けていた。お陰で、少年はビクビクし続けていた。繭の匂いを嗅がれたら、絶対ばれる。ちょっと立っちゃったとか、そんな状況ではなかった。ちょっと興奮しただけなのに、少年のペニスは、今にも達してしまいそうなほどの興奮に包まれていた。ほんの短期間ではあるが、繭の中に先走りをじくじくと漏らし続けているのだ。これだけの量をを漏らせば、繭はもうビショビショになっているに違いない。だが幸いにも彼女は、少年の上体ばかり集中的に嗅ぎまくっていた。

「おかしいわね」

香水など付けていないのだから、いくら嗅ごうが判るはずが無いのだ。しかし、少年はなかなか解放されなかった。沙織は更につんと、尖った鼻を少年に押しつけるようにして深く匂いを嗅いでいた。息を吹きかけられるだけでも、ぞくぞくとした感じがするのに、柔らかな鼻頭で少年の皮膚をなぞりながら刺激を与える沙織に、少年はくらくらしだした。首を絞められながら全身を嗅ぎ回られるこの状況は、何か倒錯的な快感がある。

「おかしい、おかしいわ」

おかしいのは沙織の方では無いだろうか。さっきから同じところばかりで、匂いを嗅いでいる。何回嗅いだところで、新たに判ることは無いだろうと少年は思う。一方繭の中では、先ほどから沙織の動きにあわせて、とんでもないことが始まっていた。沙織の吐息そっくりの息がペニスに吹き掛かるのだ。空気ではなく、ヌルヌルの粘体で再現されるその息は、沙織の動きと忠実に連動していた。

「おかしいの、いいの。凄くいいの」

沙織はうわごとのように声を漏らしながら、服越しに少年の肌を鼻で擦りまくった。もはや、匂いを嗅いでいるというより、少年に鼻をなすりつけていると言っても良いような動きだ。その上、何か熱を帯びたような沙織のその声を胸元や首筋で囁かれると、少年もおかしな気分になって来ざるを得ない。繭の中にも、ゼリーというかもう少し実体感のあるゲル状の何かが少年のペニスを這い回した。沙織の鼻の動きにあわせたその刺激は、少年が沙織を振り払う事を許さない。

いきなり、沙織が少年の上着をはだけた。そればかりか、あらわになった少年の胸に顔を密着させる。もちろん、鼻をくっつけて匂いを確かめている。肌に直に沙織の鼻が当たっている。沙織の鼻は少年の肌をその弾力でなぞるだけではなく、息も直接素肌に吹きかけるのだ。そこまでしなければ、判らない香りなのだろうか。沙織は、少年の胸の上で深く息を吸ったり吐いたりしながら顔をゆっくりと動かしていた。まるで、蜜の香りに捕らわれて花から離れられなくなった昆虫のように、少年の胸の上で呼吸し続けていた。

目の端では、沙織がスカートの下で太腿を擦りあわせているかのような腰つきが目に入る。沙織のそんな様子に、少年は段々理性が効かなくなってきた。なんとか我慢しようとしても、あまりに扇情的な沙織の様子に全身が汗ばんでいる。ベッドの上でそんなことをされたら、だれだって狼になるんじゃないかなどと少年は考えていた。沙織の目が、濡れたようにトロンとしてきたことに、まだ少年は気づかなかった。繭の中では、今度は沙織の吐息ではなく、呼吸が忠実に再現されていた。吸ったり吐いたりするタイミングはピッタリ同じだが、先ほどのようなヌルヌルした軽い空気相当の流体ではなく、重く絡み付くドロドロの流体で再現されているのだ。ドロドロは、まるでやわらかな口の中にペニスを出したり入れたりしているような感触でペニスを吸ったり吐いたりしていた。

少年が興奮に汗ばめば汗ばむほど、少年の香りが沙織を狂わせていた。しきりに匂いを嗅ぎ続けながら、少年の肌が珠の汗を散りばめて綺麗な色になってゆくのに沙織は気づいた。少年の肌をなぞる鼻が、つるんと滑るようになってきた。それがどんな効果を少年に及ぼしているかも気づかずに、沙織はもっともっと少年の香りを吸おうと、ひたすら鼻を擦り付けながら顔を這わせていた。

そんな沙織も、ようやく少年が汗をビッショリとかき始めた事に気づいた。

「汗、かいてるね」




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管理人:鷹巣 椎茸