初版:2010/07/14
改定:2010/07/20
調印式 予告編その3
本作は予告編その3(予告編その2の続き)です。
作成中の本編は、本予告編と一部或いは大部分、設定や内容が異なる場合があります。
///// 以下 予告編その3 /////
「ふ、普通でいいよ」
なんとか振り絞った声は、裏声に近かった。
なんでもない振りをしたいのに、股間に送り込まれ続けている強烈な快感の前にはどうしても声が震えてしまう。
「そうですか?」
別な返事を期待しているのか、ルセッテが目を輝かせながら訊ねてくる。
いつの間にか彼女の指が止まっていた。
「本当に宜しいのですか」
「もちろ……ん」
返事をしようとした瞬間に声が裏返る。
ルセッタの指が素早く輪を作り、怒張を握り込むような愛撫を再開してきたのだ。
「クスッ。普通に、ですね?」
「ぁ……ぁぁ」
再開された手の動きは、何故か非常に緩やかだった。
まるで焦らすように、止まっては少し動き、また止まっては僅かに撫であげる動作を繰り返す。
そうかと思えば突然激しく扱きたて、鈴口からカウパー腺液が吹き出る直前で、緩やかな指の動きに戻す。
「如何ですか?」
ルセッタの口元に浮かぶ、悪戯っぽい笑み。
まるでわざと射精させないように、それも限界ギリギリで我慢可能な程度に、手加減しながら香油を塗ってきているとしか思えない。
寸前で淫らな刺激が弱められるので、意識して射精を我慢する必要もない。
単に、性器が常に悩ましい刺激を受け続けているだけ。
しかし気持ちの良い射精を迎えられそうになると、強制的に怒張への愛撫が打ち切られる。
つまり毎回強制的に、切なく疼く状態へと、振り出しに戻される。
「どこか塗り足りないところは御座いませんか?」
ヒクつく性器に指を絡めながらルセッタが尋ねてくる。
頼みさえすればどんな塗り方にも応じてくれそうな、従順な口調。
「隠そうとされても、無駄な事ですわ」
5本の指で怒張の反応を確かめながらも、そちらには目もくれない。
ルセッタは目を細めると、こちらにグッと顔を近づけてくる。
唇と唇が触れあいそうな距離。
思わず股間にビクンという反応が出てしまう。
「物足りないのではありませんか?」
ルセッタの目が輝きを放ちながら顔を覗き込んでくる。
まるで目から体内の反応を見ている様な、強烈な視線だった。
目と目をを合わせたまま、新たに捻る様な動作を加えた手扱きが行われる。
「ご気分は、如何ですか?」
愛撫に対する反応を、怒張からだけではなく目からも読み取られているのか?
砲身を覆う指が再びじわじわと動かされ、狂おしいまでの切なさに襲われた瞬間、
ルセッタが満足そうに目を輝かせた。
「やはり、物足りないのですね」
限界を見透かすようにピッチを上げられては、砲身に這わされた指の動きがピタッと止まる。
「ほら、あちらの方もそう言ってますわ」
傍らのルセッタの視線は、いきり立った股間の物へと向けられていた。
充血した砲身がにベットリと香油が塗りこまれ、テラテラとした特有の輝きを放っている。
「ふふっ、見てください。蜂蜜をまぶされたお菓子みたいで、とっても美味しそう」
ガチガチになった怒張を柔らかな指でくゆらしながら、ルセッタが甘ったるく囁いてくる。
焦らすような指使いに加え悩ましい声を耳に注ぎ込まれては、もはや脈打つような砲身のヒクつきを抑えることが出来ない。
「こんな素晴らしいモノですから、大切に扱わないといけませんね」
ルセッタは再び視線を股間のモノへと向けると、今度は人差し指だけでなぞり始める。
手にすくい取った香油を一本の指だけで塗り始める。
指先から怒張に垂らすようにして滴の珠を作ると、それを転がすようにして香油を周りに塗ってゆく。
「とても見事な輝きですわ」
5本の指全部を使った塗り方がたった1本の指だけに変わり、劇的に速度が遅くなる。
たった一点でしか接してくれないだけに、ルセッタの指に触れられた箇所は、それまでと比べ遥かに敏感になってしまう。
とてつもなく焦れったかった。
「よろしいのですか『普通に』塗るだけで。ご命令さえ頂ければ、いくらでも特殊な塗り方をして差し上げますわ」
ルセッタの目が、じっと返事を待っていた。
本心を言ってしまいなさいと。
「いいのですよ? どんな塗り方でも……お望みのままに」
人差し指は、どこまでもどこまでも砲身を優しく撫で続ける。
ルセッタが期待する返事をするまで。
合間に香油を塗り足しながら、ルセッタの責めがひたすら繰り返される。
「遠慮なさることはありませんわ。王子様に気持ち良く過ごしていただくのが私の役目ですから。
さあ、なんでもご命令下さい」
命令!
まだ調印も取り行っていない段階なのに。
王子の権限で命ずれば、確かにどんな事でも行ってくれるに違いない。
だが、あてがわれたメイドにそんなことをさせたら。
この短い滞在の間、相手国の王子を如何にもてなしたか国をあげて詳細に宣伝するに決まっている。
「さすがは王子様。我慢強くて、とても素敵ですわ。ですから……」
ルセッタがそう言いながら、視線を下に向けてゆく。
「……これを見て下さい」
その先を見やると、股間を包み込むようにルセッタの手が広げられていた。
いまにも触れそうでいて、決して触れない距離。
手のひら全面がぬらぬらと濡れ光り、ぶ厚く香油にしっかりとまみれているのが判る。
彼女が手を動かにつれ、5本の指の間で透明な液が糸を引くように混じり合う。
「この手と指、全部使って塗って欲しくはありませんか?」
そんな方法で香油を塗りこまれたら!
耐えられないかもしれない。
「どうされました、王子様?」
明らかに、こっちの状態を判った上で尋ねてきている。
肉感的なメイドが一緒のベッドに寝ていて、しかも彼女の右手は俺の隆起をネットリ覆って動いている。
抱き合っているといっても過言ではない距離に妖艶な肉体が横たわっていて、魅力的な笑顔を向けてくる。
ああ、ルセッタが返事を待っている。
懇願しさえすれば素晴らしい愛撫をしてあげるわよと、悩ましい手の動きで示している。
「さぁ」
首筋に吹きかけられる、ルセッタの甘い息。
ルセッタの指が、怒張に触れたか触れないかの絶妙な接触感を保ちながら、ひたすら緩やかな愛撫を続けてくる。
いけないことだとわかっていても、ルセッタに思わず懇願してしまいそうになる。
もうどうなっても良いから、逝かせてくれと。
「ふふふっ」
国の為に、この部屋でそんなことをしてはならないと判ってはいる。
頭ではそう理解していても、今にも淫らな願いを口にしてしまいそうだ。
このままでは蓄積される快感によって、何も考えられない。
ああそうだ! 変な言葉を口走らなければ良いのだ。
たとえばこんな生殺しみたいな愛撫ではなく、ほんの少しでも強く塗ってくれれば。
もっとしっかりアソコを撫で続けてくれるなら。
そう、もう少しギュっと手で握りしめて欲しいと言いさえすれば。
頭がこれ以上おかしくなる前に、ルセッタにそうするよう伝えなくては。
「ルセッ……」
「フフッ。どうかなされましたか」
その言葉を今にも口にしようとした途端、怒張に対する全ての愛撫が止まった。
何で?
「朝のお薬を全て塗り終わりました」
(まだあんなに残っているに?)
そのセリフを、辛うじて口には出さずにいられた。
なんとか誘惑に耐えきった……のか?
その筈なのに、心のうちにはどこか喪失感が漂う。
ぬるぬるした香油まみれになった怒張。
砲身への愛撫が止まっても、それだけでは強烈な勃起が治まらない。
それにしてもコイツ、こんなに大きかっただろうか。
強烈な快感を受けたためか、かつてないほどに巨大化している気がする。
「塗り終わったばかりですから、そのまま触らないで下さいね」
砲身は中途半端な状態で放置され、溜め込んだ快感を放出する当てもなく、未だにビクンビクンと鎌首を振り続ける。
充血しきった怒張は部屋の空気が動くだけでも、まるで撫であげられるような感覚が伝わってくる。
指での刺激は止んでいるのに、なかなか元の状態に戻らない。
「私の医療行為はこれで終了です」
「あ、ぁぁ」
がっかりした様な声にならなかったろうか。
たかが薬を塗られるだけの事なのに全身が汗でびっしょりだった。
まるで何時間も長距離マラソンをした後のように、心臓が早鐘のような鼓動を打っている。
「では、お戻しいたしますね」
ルセッタの指が優しく巻きつくと、反り返った幹を丁寧に特製下着の中へ戻し始める。
「それでは御用が有りましたら、どんなことでも申しつけて下さい」
『どんなことでも』という部分を特に強調しながら囁いてくる。
まるでその言葉に、別な意味があるかのように。
「ええ、どんなご命令でも……フフ……おわかりですよね?」
ルセッタの指が下着の上から怒張の形を確かめるように輪郭をなぞってくる。
その淫らなタッチに、電撃のような興奮が股間から背筋に駆け抜けた。
妖艶なメイドに起こされてから10分も経っていなかった。
それも、まだベッドから起き上がってさえいない。
長い一日の幕開けだった。
///// 以上 予告編その3 /////
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管理人:鷹巣 椎茸