初版:2007/01/07
改定:2007/01/07
MEGAZONE WORLD - 小説 - ○○○○○内誘惑責め

○○○○○内誘惑責め


少女の蠱惑的な躯が、透明化した少年を誘惑する


ver 01.01
奇跡だった。

今までなんとか耐えられたのは本当に偶然の産物以外の何者でもないと、少年には解っていた。行く先々全てに、由香が待ち構えていた。休み時間が短いために、今までは何とか耐えることが出来た。だが、この休み時間だけはどうしようもない。数十分も続く、昼休み。ほんの十分足らずで理性をボロボロにされてしまう少年には、余りに長すぎる時間。

ツンツン

昼食会の最中に顔を顰めて苦悩する少年に声を掛けてきたのは、親友の渡辺だった。

「なんだよ」
「解らないのか」
「だから、一体何だよ」
「よく見てみろよ」

一体?

「小指がねぇ!。とうとう、詰めたのか!!」
「違うよ。良く見ろってば」

いや、どう見たって小指が無い。・・・。無いよ。

うん?!、どの指で渡辺はツンツンを続けているんだ?

渡辺は一本も指を動かさずに、少年を突っついている。ふむ。一体、どんなカラクリがあるんだ。

ガシッ

突っついてきた瞬間、見えないカラクリをすかさず掴んだ。掴んだ?・・・?・・・??

確かに渡辺の指を押さえているのに、感触はあるのに、その指が見えない。

「何これ」
「ふっふっふっ。手に入れたんだよ。透明になれる薬」
「まさか」
「ありきたりのつまらん反応だな。お前、今まさしく証拠に触っているんだろうが」

いや、そんな突拍子もないこと。・・・。でも、本当っぽい。これが、透明になった指・・・。

「離せ。何時までも気色悪い」

見えないけれど、確かに渡辺の指なんだ。

「ちと、この後来い。透明になれば、誰にも見つからないんだぜ」
(コクコク)

頷くことしか出来なかった。だが、そうか。見つからないのか。思わぬ幸運の女神が、少年に微笑んでいるのかもしれない。



「いいか、一回分しかないから失敗するなよ」
「お前が使えば、二回使えるじゃないか」
「解ってないな。鏡じゃ、ちゃんとチェック出来ないんだよ」
「ついでに、俺を共犯にしようってことなんだな」

バンバン背中を叩かれた。正解らしい。

「本当に消えるのかな」
「まだ言っているのか。ほらよ」

飛んできたクリームを手の甲に塗ってみる。確かに透明になる。今度は手を裏返して、手の平を目に向ける。

見える。

もう一度裏返す。

机が見える。透明だ。手の甲に塗れば、裏返さない限りは、手の平に塗っていなくても透明になるんだ。

「おお」

今度は手を握ると、手の平も見えなくなって、机の上だけが見える。逆に手を開くと、そこに手の平だけが突如として現れる。

「凄いな」
「遊んでないで、さっさと塗れよ。時間無いぞ」

全身に塗るのには、思ったより時間が掛かった。見えないところや、手が届かない場所が多いのだ。なるほど、助っ人が必要なわけだ。原理は判らないが、外側に塗るだけで完全な透明人間になれる。


「どうだ?」
「スゲェ気持ち悪い」

何しろ、目だけが宙に浮いているのだ。

「他は大丈夫か」
「髪がチョットな」

撫でつけているのだろうか。既に腕が透明だから手の動きは解らないが、まだ見えている数本の髪が動く様で、透明になれるクリームを塗り込んでいる様子がわかる。

「じゃ、ラスト行くぞ」
「おう」

目に染みる。本当に塗っていいものなのかな、これ。

「大丈夫だって言ってたぞ。ただ、濡らすなよ。そうしなければ、1時間持つって話だ」
「全く誰からの話だよ」
「そんなのは秘密に決まってる。で、逃げ出さずにちゃんと付き合えよ」
「へいへい」

ま、これがあれば昼休みの間は由香の魔の手から隠れていることが出来る。ただ、これから行くところがチョット問題だ。




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管理人:鷹巣 椎茸